Works
Giant Virus
Subnanometer structure of medusavirus capsid during maturation using cryo-electron microscopy Ryoto Watanabe, Chihong Song, Masaharu Takemura, Kazuyoshi Murata

メドゥーサウイルスのカプシド構造のうち、マイナーカプシドタンパク質を中心とした詳しい構造を、クライオ電子顕微鏡を用いた解析により明らかにしました。ペントンタンパク質周辺の細かい構造について、内部にゲノムがある場合とない場合とで明確な違いがあることが示されました。

2024 Journal of Virology https://doi.org/10.1128/jvi.00436-24
Complete genome sequence of Tornadovirus japonicus, a relative of Pacmanvirus, isolated from the Tamagawa River in Japan. Daniel Waschestjuk, Kazuyoshi Murata, Masaharu Takemura.

多摩川から、Pacmanvirusによく似た新たなウイルス「トルネードウイルス」を分離た、分離報告論文です。ウイルス成熟途上のTEM画像において、トルネード様の構造が見られたことから、この名を付けました。

2024 Microbiology Resource Announcements https://doi.org/10.1128/mra.00265-24
Analysis of Morphological Changes in the Nucleus and Vacuoles of Acanthamoeba castellanii following Giant Virus Infection Sho Fukaya, Lisa Masuda, Masaharu Takemura.

メドゥーサウイルス感染アカントアメーバ細胞における、感染経過による細胞核や細胞内小胞の大きさを追跡し、定量化することに成功しました。その結果、メドゥーサウイルスのもつ他の巨大ウイルスには見られない、宿主細胞に対する行動学的影響を明らかにすることができました。
"Mamonoviridae", a proposed new family of the phylum Nucleocytoviricota Ruixuan Zhang, Masaharu Takemura, Kazuyoshi Murata, Hiroyuki Ogata.

分子系統学的解析をもとに、メドゥーサウイルスの新たな分類を提唱しました。現在までに分離した2つのメドゥーサウイルス株(メドゥーサウイルスならびにメドゥーサウイルス・ステノー)は、マモノ(魔物)ウイルス科、メドゥーサウイルス属に分類され、種名をメドゥーサウイルス・メドゥーサエならびにメドゥーサウイルス・ステヌスとすることを提唱しました。
Particle morphology of medusavirus inside and outside the cells reveals a new maturation process of giant viruses. Ryoto Watanabe, Chihong Song, Yoko Kayama, Masaharu Takemura, Kazuyoshi Murata.

メドゥーサウイルス粒子にはカプシド内部の構成成分の違いにより4種類のものがあり、それらがどのように成熟し、細胞外へと放出されるのかを明らかにしたのと同時に、メドゥーサウイルスカプシドの詳細構造をクライオ電顕により明らかにしました。また、その生物学的意義は不明ですが、メドゥーサウイルス粒子が宿主のミトコンドリアに入り込むことも明らかにしました。正二十面体の真核生物ウイルスがミトコンドリア内に侵入することがわかったのは、メドゥーサウイルスが初めてです。
2-Dimensional Genetic Algorithm Exhibited an Essentiality of Gene Interaction for Evolution. Motohiro Akashi, Ichiro Fujihara, Masaharu Takemura, Mitsuru Furusawa.

独自に開発したアルゴリズムを使って遺伝子クラスターの適応進化をシミュレーションすることにより、生物やウイルスの遺伝子・ゲノム進化のしくみの一端を明らかにした論文です。特にウイルスに関して、二本鎖DNAウイルスのゲノムがなぜほかのタイプのウイルスに比べて大きく進化するのか、そのしくみを理論的に考察しています。

2022 Journal of Theoretical Biology https://doi.org/10.1016/j.jtbi.2022.111044
Genome sequence of new Candidatus Phylum Dependentiae isolate from Chiba, Japan. Masaharu Takemura

世界で4例目、日本で初となるPhylum Dependentiae(バクテリアの一種)の分離報告論文です。メタゲノム解析ではすでに多くの報告があります。巨大ウイルスではありませんが、巨大ウイルスの探索過程で偶然発見したもので、巨大ウイルスの宿主として知られるVermamoeba vermiformisを宿主とする偏性細胞内寄生体の一種です。

2022 Microbiology Resource Announcements https://doi.org/10.1128/mra.01123-21
Kinetic analysis of Acanthamoeba castellanii infected with giant viruses quantitatively revealed process of morphological and behavioral changes in host cells. Sho Fukaya, Masaharu Takemura

アメーバ動態解析プログラムPKA3を用いて、各巨大ウイルスに感染したアカントアメーバの動態における特徴を定量的に明らかにした論文です。

2021 Microbiology Spectrum https://doi.org/10.1128/Spectrum.00368-21
RNA-seq of medusavirus suggests remodeling of the host nuclear environment at an early infection stage. Ruixuian Zhang, Hisashi Endo, Masaharu Takemura, Hiroyuki Ogata.

メドゥーサウイルスのトランスクリプトーム解析論文です。ヒストンH1が他のコアヒストンよりも初期に転写されることが明らかとなりました。

2021 Microbiology Spectrum https://doi.org/10.1128/Spectrum.00064-21
Morphological and taxonomic properties of the newly isolated Cotonvirus japonicus, a new lineage of the subfamily Megavirinae. Haruna Takahashi, Sho Fukaya, Chihong Song, Kazuyoshi Murata, Masaharu Takemura

ミミウイルス科・メガミミウイルス亜科における新規系統に属するCotonvirus japonicusに関するゲノムならびに生活環解析論文です。ツパンウイルスと同程度のゲノムサイズを持ち、ウイルス工場形成にゴルジ体を用いるという興味深い特徴があります。

2021 Journal of Virology https://doi.org/10.1128/JVI.00919-21
Draft genome sequence of Pandoravirus japonicus isolated from the Sabaishi River, Niigata, Japan. Nao Hosokawa, Haruna Takahashi, Keita Aoki, Masaharu Takemura

新潟の川の河口付近の水からの、日本産3例目となるパンドラウイルス(Pandoravirus japonicus)の分離と、そのゲノム解析に関する論文です。

2021 Microbiology Resource Announcements https://doi.org/10.1128/MRA.00365-21
Marseilleviridae Lineage B Diversity and Bunch Formation Inhibited by Galactose Keita Aoki, Sho Fukaya, Haruna Takahashi, Mio Kobayashi, Kenta Sasaki, Masaharu Takemura

マルセイユウイルス科のB系統のウイルスが宿主に細胞凝集体を作らせることがわかっていましたが、そのしくみにアカントアメーバのガラクトース認識機構が関与していることを示した論文です。

2021 Microbes and Environments https://doi.org/10.1264/jsme2.ME20139
Draft Genome Sequence of Medusavirus Stheno, Isolated from the Tatakai River of Uji, Japan Koki Yoshida, Ruixuan Zhang, Kimberly G. Garcia, Hisashi Endo, Yasuhiro Gotoh, Tetsuya Hayashi, Masaharu Takemura, Hiroyuki Ogata

京都の川の水からの、メドゥーサウイルスの姉妹株であるMedusavirus sthenoの分離と、そのゲノム解析に関する論文です。メドゥーサウイルスとはいくつか遺伝子の存在状態が異なることが明らかになりました。

2021 Microbiology Resource Announcements https://doi.org/10.1128/MRA.01323-20
Medusavirus Ancestor in a Proto-Eukaryotic Cell: Updating the Hypothesis for the Viral Origin of the Nucleus Masaharu Takemura

メドゥーサウイルスの知見やここ数年の先行研究の知見を合わせ、新たな細胞核ウイルス起源説を提唱した論文です。これまで謎であったゲノムが核膜に包まれたメカニズム、リボソームが核膜の外に排除された理由を、明確に説明することができています。

2020/9/3 Frontiers in Microbiology https://doi.org/10.3389/fmicb.2020.571831
Kinetic Analysis of the Motility of Giant Virus-Infected Amoebae Using Phase-Contrast Microscopic Images Sho Fukaya, Keita Aoki, Mio Kobayashi, Masaharu Takemura

位相差顕微鏡によりアメーバをタイムラプス撮影した動画に対して、画像解析を行うプログラム「PKA3」を開発しました。これを用いて、アメーバ細胞の大きさや形状の変化、数や動きなどを定量化し、巨大ウイルスに感染したアメーバの動きの変化を分析しました。

2020/1/17 Frontiers in Microbiology https://doi.org/10.3389/fmicb.2019.03014
Co-Isolation and Characterization of Two Pandoraviruses and a Mimivirus from a Riverbank in Japan Motohiro Akashi, Masaharu Takemura

数グラムの河岸の土壌から二種のパンドラウイルスとミミウイルスを同時に分離しました。パンドラウイルスの発見は、日本ではこの研究が初めてです。また巨大ウイルスの発生源の一つが土壌であることを強調する結果となりました。
Distribution of SNSs in Mimivirus Genomes and the Classification of Mimiviruses Isolated from Japan Motohiro Akashi, Masaharu Takemura

ミミウイルスゲノム中の16箇所の一塩基置換(SNSs)を用いることで、Lineage A のミミウイルスをさらに細かく分類できることを明らかにしました。また武村研究室で以前に採取された9種類のミミウイルスについて、4箇所のSNSsを用いて検証し、全てLineage A の Type 2 であることを明らかにしました。

2019/9/11 Microbes and Environments https://doi.org/10.1264/jsme2.ME19077
Fifteen Marseilleviruses Newly Isolated From Three Water Samples in Japan Reveal Local Diversity of Marseilleviridae Keita Aoki, Reika Hagiwara, Motohiro Akashi, Kenta Sasaki, Kazuyoshi Murata, Hiroyuki Ogata, Masaharu Takemura

水サンプルから合計15種類のマルセイユウイルスの分離に成功しました。分離されたマルセイユウイルスは、Linaege A と Linaege B の2種類であることを明らかにしました。1つの水サンプルからの複数種類の巨大ウイルスの分離に成功した研究は世界で初めてです。

2019/5/6 Frontiers in Microbiology https://doi.org/10.3389/fmicb.2019.01152
Gram-positive bacteria-like DNA binding machineries involved in replication initiation and termination mechanisms of Mimivirus Motohiro Akashi, Masaharu Takemura

DNA複製に関与すると考えられる因子及びそれらの認識配列を推定しました。巨大ウイルスのDNA複製機構は未だ解明が進んでいませんが、本研究はその足がかりとなるものです。
Medusavirus, a novel large DNA virus discovered from hot spring water Genki Yoshikawa, Romain Blanc-Mathieu, Chihong Song, Yoko Kayama, Tomohiro Mochizuki, Kazuyoshi Murata, Hiroyuki Ogata, Masaharu Takemura

新種の巨大ウイルスであるメドゥーサウイルスを温泉水から分離し、そのゲノム解析を行いました。ヒストン遺伝子を真核生物と同じく5種類持つこと、真核生物のDNAポリメラーゼδと非常によく似たものを持つことなど、面白い特徴を持っています。巨大ウイルスの中でも真核生物の進化に最も大きく関わってきたウイルスである可能性が示唆されています。

2019/1/24 Journal of Virology https://doi.org/10.1128/JVI.02130-18
Nearly Complete Genome Sequences of Two Mimivirus Strains Isolated from a Japanese Freshwater Pond and River Mouth Masaharu Takemura, Tatsuya Mikami, Shingo Murono

2種類のミミウイルスのゲノムシーケンスを報告した論文です。ミミウイルスの分離はこの論文が日本で初めての報告でした。

2016/12/8 Genome Announcements https://doi.org/10.1128/genomeA.01378-16
Morphological and taxonomic properties of Tokyovirus, the first Marseilleviridae member isolated from Japan Masaharu Takemura

トーキョーウイルスの形態学的および分類学的な調査を行った論文です。トーキョーウイルスはマルセイユウイルス科に属していますが、これまで見つかったマルセイユウイルスとは少し異なった特性を持つことを示しました。

2016/11/19 Microbes and Environments https://doi.org/10.1264/jsme2.ME16107
Draft genome sequence of Tokyovirus, a member of the family Marseilleviridae isolated from the Arakawa River of Tokyo, Japan Masaharu Takemura

日本初の巨大ウイルスであるトーキョーウイルスを報告した論文です。この論文ではゲノムシーケンスのみを報告しています。

2016/6/9 Genome Announcements https://doi.org/10.1128/genomeA.00429-16
Evolution of Eukaryotic DNA Polymerases via Interaction Between Cells and Large DNA Viruses Masaharu Takemura, Yokobori Shinichi, Ogata Hiroyuki

巨大ウイルスのDNAポリメラーゼと、真核生物や古細菌のポリメラーゼを遺伝子解析により比較し、これらの遺伝子が水平伝播によって進化したことを示唆しました。巨大ウイルスが核の起源に関わっている可能性を示した初めての研究です。

2015/7/16 Journal of Molecular Evolution https://doi.org/10.1007/s00239-015-9690-z
Poxviruses and the Origin of the Eukaryotic Nucleus Masaharu Takemura

ウイルスが真核生物の核の起源に関わっているという仮説を、初めて提唱した論文です。当時はミミウイルスは報告されておらず、巨大ウイルスという名前もまだなかったため、ポックスウイルスと真核生物の遺伝子解析の結果から仮説を提唱しています。

2001/1/16 Journal of Molecular Evolution https://doi.org/10.1007/s002390010171
Biology and Virus Education
Visualization of giant Mimivirus in a movie for biology classrooms Kanako Morioka, Ayumi Fujieda, Masaharu Takemura

アカントアメーバをアガロースで固定し、ミミウイルスの感染から放出までを一細胞で動画で撮り続けることに成功した論文です。必ずしもある一つの細胞で感染から放出まで見たわけではありませんが、ウイルス工場ができてからミミウイルスが増殖し、細胞を破裂させて放出されるまで長い間動画を撮り続けた例は、世界初です。この動画を生命科学や生物学の講義で学生に見せて、ウイルス教育効果について考察しました。

2024 Journal of Microbiology & Biology Education https://doi.org/10.1128/jmbe.00138-24
高校生物における環境ウイルスを題材とした教材開発~PCR法による水環境に存在するT4様ファージの検出 内山智枝子, 武村政春.

水田などからのバクテリオファージの検出を、PCRを用いて生徒にやらせて、環境ウイルスの存在とその生物学的意義を学ばせることができる実験教材の開発に関する論文です。

2024 科学教育研究 https://doi.org/10.14935/jssej.48.157
イネの胚乳を題材とした突然変異のパターンを学ぶ実験教材の開発 内山智枝子、宇田川麻由、青木啓太、深谷将、武村政春

突然変異とお米の食感を体験できる生物実験教材の開発研究です。コロナ禍が過ぎ、突然変異などの分子レベルの生物教育は、今後ますます重要になってきます。
特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」を題材とした授業実践と防除対策-サクラ被害マップの作製と活用 倉林正、深谷将、髙橋瑛人、武村政春

生物分野における生態(特に外来生物)について学ぶと同時に、地理の知識も深めることができるという教科間連携に関する教材の開発・実践研究です。

2022 生物教育
GISを活用した地理と生物の教科間連携授業の開発と実践-サクラマップの作製とその分析を通して- 倉林正、髙橋瑛人、深谷将、武村政春

生徒にどこにサクラが植わっているかをGISを利用して簡単にスマホで登録できるアプリを開発し、それを用いて生徒に対して実践したもので、地理と生物という全く異なる教科が連携して行うことができるという、新たな教科間連携教材の開発研究です。

2021 新地理
「遺伝子とその働き」の理解を目指したパフォーマンス課題の検討 内山智枝子、武村政春

塩基配列の違いを示す資料と食べ比べを併用することでお米の食感と遺伝子(Wx遺伝子)との関係を生で感じられる、高校の授業設計に関する論文です。
塩基の相補性を確実に示す DNA 教材の重要性 内山智枝子、武村政春

DNA二重らせんモデルと塩基の相補性を示すいくつかの立体教材について、その教育効果を検討し、塩基の相補性を確実に反映させたボール紙・レゴブロック・磁石併用モデル教材が有効であることを示しました。
「進化と系統の結びつけの図が学習者に与える効果」の下線引きを活用した評価 深谷 将、武村 政春

生徒がテキストに下線を引くとそれが教師にリアルタイムに伝わり、生徒がどこを面白いと思い、重要だと思い、またわからないと感じているかが網羅的にわかるスマホアプリを利用して、3ドメイン説と細胞内共生説を結びつけた図の有無により生徒の理解がどう異なるかを評価する方法について研究を行いました。

2019/8/12 生物教育 https://doi.org/10.24718/jjbe.61.1_2
Visualization of giant virus particles and development of “VIRAMOS” for high school and university biology course Motohiro Akashi, Sho Fukaya, Chieko Uchiyama, Keita Aoki, Masaharu Takemura

ミミウイルスと宿主であるアカントアメーバを用い、ウイルスが生物に感染する過程を学ぶことのできる教材「VIRAMOS(Virus-Amoeba Observation Sheet)」を開発しました。栄養条件とウイルス感染の進行の違いについて、実際の顕微鏡写真で知ることができます。VIRAMOSはこちらから取得することができます。

2019/4/25 Biochemistry and Molecular Biology Education https://doi.org/10.1002/bmb.21249
DNAとRNAの役割の違いは、なぜ区別されにくいのか? 内山 智枝子、武村 政春

セントラルドグマの理解に不可欠な,「複製」と「転写」における DNA と RNA の役割を高校生が区別しているかどうか,その現状を調査し,先行研究と同じ混同が確認できるようであれば,その原因を追究することを目的とした論文です.
簡単で安価な電気泳動装置の開発による実践的な電気泳動実験 倉林 正、武村 政春

高等学校の生物の授業で、アガロースゲル電気泳動を、研究で用いるような専門的な電源や装置、研究用の寒天などで再現するのはコスト的にも大きな壁があります。これは、百円ショップなどで簡単に揃えられる材料を使った、学校の授業で気軽にできる簡易電気泳動装置の開発を行った論文です。、
Extracting DNA to visualize the unity and diversity of life Yoshihito Kinoshita, Takahiro Yamanoi, Masaharu Takemura.

DNA抽出実験は数多くの食材や生物材料から行われていますが、DNAを抽出してはい終わり、となってしまうことがほとんどです。この論文では、生物の五界説のそれぞれの界における代表的な生物(いずれも食材)から、同じ方法でDNA抽出を行うことで、DNAの共通性と多様性を感じさせることができる教材を開発しました。

2016 American Biology Teacher https://doi.org/10.1525/abt.2016.78.2.118
高校生物教科書における「真核生物の誕生」に関する内容ならびに「3ドメイン説」との関連付けに関する調査 武村政春

真核生物の誕生には、三ドメイン説、生物の進化と系統、細胞内共生説など、生物の教科書に掲載され、かつ別々の単元にあるいくつかの事象が緊密に関わっています。この論文では、それらを結び付けて効果的に真核生物の誕生について学ぶためにどのようにすればよいか、その例を具体的に提言しました。
「複製」と「転写」の誤理解もしくは混同に関する考察~旧課程で学んだ大学生に対する質問紙調査の結果から~ 倉林真理緒、武村政春

「複製」と「転写」は、そのしくみが非常に似ていることから、多くの語理解が存在していることがわかっていますが、その実態を詳しく調査した例はありませんでした。そこで、複製と転写がどのように学ばれてきたか、誤理解がどのように定着しているのか、その実態を調べるために、大学生に対してアンケート調査を行った論文です。
Using analogy role-play activity in an undergraduate biology classroom to show central dogma revision. Masaharu Takemura, Mario Kurabayashi

遺伝子の「転写」と「翻訳」の過程を、大学の授業でロールプレイのように、学生がtRNA、リボソーム、mRNA、RNAポリメラーゼ、DNAなどに役割分担して演じることで、どのような学習効果が得られるかを研究した論文です。

2014 Biochemistry and Molecular Biology Education https://doi.org/10.1002/bmb.20803
高等学校段階における生命現象の統一的な理解と説明のための「複製」概念の利用可能性について 武村政春, 風間智子

生命の根本的な性質である「複製」を、分子から個体レベルまでの様々な階層において見出し、それらを概念化することで、どのような高校生物教育に応用可能性があるのかを探った論文です。 

2014 科学教育研究 https://doi.org/10.14935/jssej.38.157
身近な野菜を用いた分子系統樹を描く生徒実習教材の開発 風間智子, 山野井貴浩, 武村政春

生徒にとって身近な野菜を生物の代表種としていくつか選び、分子系統樹作成フリーソフトMEGAを用いて、高校生物の授業で使える生徒実験を開発した論文です。

2014 理科教育学研究 https://doi.org/10.11639/sjst.13032
“二重らせん”を教える必要はほんとうにあるのか~DNA教育に関する提言~ 武村政春

DNAといえば二重らせんであり、これは中学校理科から必ず出てくる概念であるが、そもそもDNAと真の理解をもたらすのに、二重らせん構造はどれほど重要なのでしょうか。その形の美しさから、生徒の興味関心を惹きつけるには効果があるかもしれませんが、DNAのはたらきについての教育に、その概念はむしろ弊害になるのではないか、そんな思いから書いた論文です。

2014 科学教育研究 https://doi.org/10.14935/jssej.38.34
架空生物を利用した高校・大学における生物教育の可能性と展望について~いくつかの事例における教育効果の分析から~ 武村 政春, 山野井 貴浩

高校生物における教材において、実験教材化が難しい分野については、何らかのモデルを代替として用いる場合があります。架空生物はそうしたものの一つであり、本論文では、仮定の鳥である「折り紙バード」、カミンが創り出した有名な架空生物「カミナルキュール」について、日本の高校・大学のおけるその潜在的可能性を考察しました。

2012 科学教育研究 https://doi.org/10.14935/jssej.36.292
Development and evaluation of an activity to teach molecular phylogeny, deep time and classification systems for Japanese high school students Takahiro Yamanoi, Masaharu Takemura, Osamu Sakura, Tomoko Kazama

鯨偶蹄目の生物の代表種としていくつか選び、分子系統樹作成フリーソフトMEGAを用いて、高校生物の授業で使える生徒実験を開発した論文です。重要なのは、鯨がカバに系統的に近いという、あまり知られていない事実を生徒が気づくことによる教育効果であることを議論しています。

2012 Asian Journal of Biology Education
Improved “origami bird” protocol enhances Japanese students’ understanding of evolution by natural selection; a novel approach linking DNA alteration to phenotype change. Takahiro Yamanoi, Kazuomi Suzuki, Masaharu Takemura, Osamu Sakura.

折り紙バードというアメリカで開発された進化教育に関する優れた教材について、日本でもその使用が効果的であることを示した論文です。
高校生物IIの授業が進化の理解に及ぼす影響 山野井 貴浩, 佐倉 統, 鈴木 一臣, 武村 政春

現行の高校生物Ⅱの授業によって、進化を学習した高校生は,学習していない高校生と比べて進化の理解にどのような違いがあるのかをアンケート調査により明らかにした論文です。また,大学や高校生物教員にも同様のアンケート調査を行い,理解が不十分な内容が学習が進むにつれ改善されるかどうかを検討しました。
DNAファイバー法を用いたDNA複製を目で見て学ぶ生徒実験の開発~SPPを利用した実践から見えてきた課題~ 髙野雅子, 大島輝義, 奥田宏志, 山野井貴浩, 武村政春.

DNAファイバー法とは、DNAポリメラーゼにより蛍光物質を取り込ませたDNAをスライドグラス上でファイバー状に引き延ばし、複製された箇所を可視化することができる技術です。この技術を用いて高校のSPPでの実践を行い、その教育効果を検討したものです。
Giant Virus
Subnanometer structure of medusavirus capsid during maturation using cryo-electron microscopy Ryoto Watanabe, Chihong Song, Masaharu Takemura, Kazuyoshi Murata

メドゥーサウイルスのカプシド構造のうち、マイナーカプシドタンパク質を中心とした詳しい構造を、クライオ電子顕微鏡を用いた解析により明らかにしました。ペントンタンパク質周辺の細かい構造について、内部にゲノムがある場合とない場合とで明確な違いがあることが示されました。

2024 Journal of Virology https://doi.org/10.1128/jvi.00436-24
Complete genome sequence of Tornadovirus japonicus, a relative of Pacmanvirus, isolated from the Tamagawa River in Japan. Daniel Waschestjuk, Kazuyoshi Murata, Masaharu Takemura.

多摩川から、Pacmanvirusによく似た新たなウイルス「トルネードウイルス」を分離た、分離報告論文です。ウイルス成熟途上のTEM画像において、トルネード様の構造が見られたことから、この名を付けました。

2024 Microbiology Resource Announcements https://doi.org/10.1128/mra.00265-24
Analysis of Morphological Changes in the Nucleus and Vacuoles of Acanthamoeba castellanii following Giant Virus Infection Sho Fukaya, Lisa Masuda, Masaharu Takemura.

メドゥーサウイルス感染アカントアメーバ細胞における、感染経過による細胞核や細胞内小胞の大きさを追跡し、定量化することに成功しました。その結果、メドゥーサウイルスのもつ他の巨大ウイルスには見られない、宿主細胞に対する行動学的影響を明らかにすることができました。
"Mamonoviridae", a proposed new family of the phylum Nucleocytoviricota Ruixuan Zhang, Masaharu Takemura, Kazuyoshi Murata, Hiroyuki Ogata.

分子系統学的解析をもとに、メドゥーサウイルスの新たな分類を提唱しました。現在までに分離した2つのメドゥーサウイルス株(メドゥーサウイルスならびにメドゥーサウイルス・ステノー)は、マモノ(魔物)ウイルス科、メドゥーサウイルス属に分類され、種名をメドゥーサウイルス・メドゥーサエならびにメドゥーサウイルス・ステヌスとすることを提唱しました。
Particle morphology of medusavirus inside and outside the cells reveals a new maturation process of giant viruses. Ryoto Watanabe, Chihong Song, Yoko Kayama, Masaharu Takemura, Kazuyoshi Murata.

メドゥーサウイルス粒子にはカプシド内部の構成成分の違いにより4種類のものがあり、それらがどのように成熟し、細胞外へと放出されるのかを明らかにしたのと同時に、メドゥーサウイルスカプシドの詳細構造をクライオ電顕により明らかにしました。また、その生物学的意義は不明ですが、メドゥーサウイルス粒子が宿主のミトコンドリアに入り込むことも明らかにしました。正二十面体の真核生物ウイルスがミトコンドリア内に侵入することがわかったのは、メドゥーサウイルスが初めてです。
2-Dimensional Genetic Algorithm Exhibited an Essentiality of Gene Interaction for Evolution. Motohiro Akashi, Ichiro Fujihara, Masaharu Takemura, Mitsuru Furusawa.

独自に開発したアルゴリズムを使って遺伝子クラスターの適応進化をシミュレーションすることにより、生物やウイルスの遺伝子・ゲノム進化のしくみの一端を明らかにした論文です。特にウイルスに関して、二本鎖DNAウイルスのゲノムがなぜほかのタイプのウイルスに比べて大きく進化するのか、そのしくみを理論的に考察しています。

2022 Journal of Theoretical Biology https://doi.org/10.1016/j.jtbi.2022.111044
Genome sequence of new Candidatus Phylum Dependentiae isolate from Chiba, Japan. Masaharu Takemura

世界で4例目、日本で初となるPhylum Dependentiae(バクテリアの一種)の分離報告論文です。メタゲノム解析ではすでに多くの報告があります。巨大ウイルスではありませんが、巨大ウイルスの探索過程で偶然発見したもので、巨大ウイルスの宿主として知られるVermamoeba vermiformisを宿主とする偏性細胞内寄生体の一種です。

2022 Microbiology Resource Announcements https://doi.org/10.1128/mra.01123-21
Kinetic analysis of Acanthamoeba castellanii infected with giant viruses quantitatively revealed process of morphological and behavioral changes in host cells. Sho Fukaya, Masaharu Takemura

アメーバ動態解析プログラムPKA3を用いて、各巨大ウイルスに感染したアカントアメーバの動態における特徴を定量的に明らかにした論文です。

2021 Microbiology Spectrum https://doi.org/10.1128/Spectrum.00368-21
RNA-seq of medusavirus suggests remodeling of the host nuclear environment at an early infection stage. Ruixuian Zhang, Hisashi Endo, Masaharu Takemura, Hiroyuki Ogata.

メドゥーサウイルスのトランスクリプトーム解析論文です。ヒストンH1が他のコアヒストンよりも初期に転写されることが明らかとなりました。

2021 Microbiology Spectrum https://doi.org/10.1128/Spectrum.00064-21
Morphological and taxonomic properties of the newly isolated Cotonvirus japonicus, a new lineage of the subfamily Megavirinae. Haruna Takahashi, Sho Fukaya, Chihong Song, Kazuyoshi Murata, Masaharu Takemura

ミミウイルス科・メガミミウイルス亜科における新規系統に属するCotonvirus japonicusに関するゲノムならびに生活環解析論文です。ツパンウイルスと同程度のゲノムサイズを持ち、ウイルス工場形成にゴルジ体を用いるという興味深い特徴があります。

2021 Journal of Virology https://doi.org/10.1128/JVI.00919-21
Draft genome sequence of Pandoravirus japonicus isolated from the Sabaishi River, Niigata, Japan. Nao Hosokawa, Haruna Takahashi, Keita Aoki, Masaharu Takemura

新潟の川の河口付近の水からの、日本産3例目となるパンドラウイルス(Pandoravirus japonicus)の分離と、そのゲノム解析に関する論文です。

2021 Microbiology Resource Announcements https://doi.org/10.1128/MRA.00365-21
Marseilleviridae Lineage B Diversity and Bunch Formation Inhibited by Galactose Keita Aoki, Sho Fukaya, Haruna Takahashi, Mio Kobayashi, Kenta Sasaki, Masaharu Takemura

マルセイユウイルス科のB系統のウイルスが宿主に細胞凝集体を作らせることがわかっていましたが、そのしくみにアカントアメーバのガラクトース認識機構が関与していることを示した論文です。

2021 Microbes and Environments https://doi.org/10.1264/jsme2.ME20139
Draft Genome Sequence of Medusavirus Stheno, Isolated from the Tatakai River of Uji, Japan Koki Yoshida, Ruixuan Zhang, Kimberly G. Garcia, Hisashi Endo, Yasuhiro Gotoh, Tetsuya Hayashi, Masaharu Takemura, Hiroyuki Ogata

京都の川の水からの、メドゥーサウイルスの姉妹株であるMedusavirus sthenoの分離と、そのゲノム解析に関する論文です。メドゥーサウイルスとはいくつか遺伝子の存在状態が異なることが明らかになりました。

2021 Microbiology Resource Announcements https://doi.org/10.1128/MRA.01323-20
Medusavirus Ancestor in a Proto-Eukaryotic Cell: Updating the Hypothesis for the Viral Origin of the Nucleus Masaharu Takemura

メドゥーサウイルスの知見やここ数年の先行研究の知見を合わせ、新たな細胞核ウイルス起源説を提唱した論文です。これまで謎であったゲノムが核膜に包まれたメカニズム、リボソームが核膜の外に排除された理由を、明確に説明することができています。

2020/9/3 Frontiers in Microbiology https://doi.org/10.3389/fmicb.2020.571831
Kinetic Analysis of the Motility of Giant Virus-Infected Amoebae Using Phase-Contrast Microscopic Images Sho Fukaya, Keita Aoki, Mio Kobayashi, Masaharu Takemura

位相差顕微鏡によりアメーバをタイムラプス撮影した動画に対して、画像解析を行うプログラム「PKA3」を開発しました。これを用いて、アメーバ細胞の大きさや形状の変化、数や動きなどを定量化し、巨大ウイルスに感染したアメーバの動きの変化を分析しました。

2020/1/17 Frontiers in Microbiology https://doi.org/10.3389/fmicb.2019.03014
Co-Isolation and Characterization of Two Pandoraviruses and a Mimivirus from a Riverbank in Japan Motohiro Akashi, Masaharu Takemura

数グラムの河岸の土壌から二種のパンドラウイルスとミミウイルスを同時に分離しました。パンドラウイルスの発見は、日本ではこの研究が初めてです。また巨大ウイルスの発生源の一つが土壌であることを強調する結果となりました。
Distribution of SNSs in Mimivirus Genomes and the Classification of Mimiviruses Isolated from Japan Motohiro Akashi, Masaharu Takemura

ミミウイルスゲノム中の16箇所の一塩基置換(SNSs)を用いることで、Lineage A のミミウイルスをさらに細かく分類できることを明らかにしました。また武村研究室で以前に採取された9種類のミミウイルスについて、4箇所のSNSsを用いて検証し、全てLineage A の Type 2 であることを明らかにしました。

2019/9/11 Microbes and Environments https://doi.org/10.1264/jsme2.ME19077
Fifteen Marseilleviruses Newly Isolated From Three Water Samples in Japan Reveal Local Diversity of Marseilleviridae Keita Aoki, Reika Hagiwara, Motohiro Akashi, Kenta Sasaki, Kazuyoshi Murata, Hiroyuki Ogata, Masaharu Takemura

水サンプルから合計15種類のマルセイユウイルスの分離に成功しました。分離されたマルセイユウイルスは、Linaege A と Linaege B の2種類であることを明らかにしました。1つの水サンプルからの複数種類の巨大ウイルスの分離に成功した研究は世界で初めてです。

2019/5/6 Frontiers in Microbiology https://doi.org/10.3389/fmicb.2019.01152
Gram-positive bacteria-like DNA binding machineries involved in replication initiation and termination mechanisms of Mimivirus Motohiro Akashi, Masaharu Takemura

DNA複製に関与すると考えられる因子及びそれらの認識配列を推定しました。巨大ウイルスのDNA複製機構は未だ解明が進んでいませんが、本研究はその足がかりとなるものです。
Medusavirus, a novel large DNA virus discovered from hot spring water Genki Yoshikawa, Romain Blanc-Mathieu, Chihong Song, Yoko Kayama, Tomohiro Mochizuki, Kazuyoshi Murata, Hiroyuki Ogata, Masaharu Takemura

新種の巨大ウイルスであるメドゥーサウイルスを温泉水から分離し、そのゲノム解析を行いました。ヒストン遺伝子を真核生物と同じく5種類持つこと、真核生物のDNAポリメラーゼδと非常によく似たものを持つことなど、面白い特徴を持っています。巨大ウイルスの中でも真核生物の進化に最も大きく関わってきたウイルスである可能性が示唆されています。

2019/1/24 Journal of Virology https://doi.org/10.1128/JVI.02130-18
Nearly Complete Genome Sequences of Two Mimivirus Strains Isolated from a Japanese Freshwater Pond and River Mouth Masaharu Takemura, Tatsuya Mikami, Shingo Murono

2種類のミミウイルスのゲノムシーケンスを報告した論文です。ミミウイルスの分離はこの論文が日本で初めての報告でした。

2016/12/8 Genome Announcements https://doi.org/10.1128/genomeA.01378-16
Morphological and taxonomic properties of Tokyovirus, the first Marseilleviridae member isolated from Japan Masaharu Takemura

トーキョーウイルスの形態学的および分類学的な調査を行った論文です。トーキョーウイルスはマルセイユウイルス科に属していますが、これまで見つかったマルセイユウイルスとは少し異なった特性を持つことを示しました。

2016/11/19 Microbes and Environments https://doi.org/10.1264/jsme2.ME16107
Draft genome sequence of Tokyovirus, a member of the family Marseilleviridae isolated from the Arakawa River of Tokyo, Japan Masaharu Takemura

日本初の巨大ウイルスであるトーキョーウイルスを報告した論文です。この論文ではゲノムシーケンスのみを報告しています。

2016/6/9 Genome Announcements https://doi.org/10.1128/genomeA.00429-16
Evolution of Eukaryotic DNA Polymerases via Interaction Between Cells and Large DNA Viruses Masaharu Takemura, Yokobori Shinichi, Ogata Hiroyuki

巨大ウイルスのDNAポリメラーゼと、真核生物や古細菌のポリメラーゼを遺伝子解析により比較し、これらの遺伝子が水平伝播によって進化したことを示唆しました。巨大ウイルスが核の起源に関わっている可能性を示した初めての研究です。

2015/7/16 Journal of Molecular Evolution https://doi.org/10.1007/s00239-015-9690-z
Poxviruses and the Origin of the Eukaryotic Nucleus Masaharu Takemura

ウイルスが真核生物の核の起源に関わっているという仮説を、初めて提唱した論文です。当時はミミウイルスは報告されておらず、巨大ウイルスという名前もまだなかったため、ポックスウイルスと真核生物の遺伝子解析の結果から仮説を提唱しています。

2001/1/16 Journal of Molecular Evolution https://doi.org/10.1007/s002390010171
Biology and Virus Education
Visualization of giant Mimivirus in a movie for biology classrooms Kanako Morioka, Ayumi Fujieda, Masaharu Takemura

アカントアメーバをアガロースで固定し、ミミウイルスの感染から放出までを一細胞で動画で撮り続けることに成功した論文です。必ずしもある一つの細胞で感染から放出まで見たわけではありませんが、ウイルス工場ができてからミミウイルスが増殖し、細胞を破裂させて放出されるまで長い間動画を撮り続けた例は、世界初です。この動画を生命科学や生物学の講義で学生に見せて、ウイルス教育効果について考察しました。

2024 Journal of Microbiology & Biology Education https://doi.org/10.1128/jmbe.00138-24
高校生物における環境ウイルスを題材とした教材開発~PCR法による水環境に存在するT4様ファージの検出 内山智枝子, 武村政春.

水田などからのバクテリオファージの検出を、PCRを用いて生徒にやらせて、環境ウイルスの存在とその生物学的意義を学ばせることができる実験教材の開発に関する論文です。

2024 科学教育研究 https://doi.org/10.14935/jssej.48.157
イネの胚乳を題材とした突然変異のパターンを学ぶ実験教材の開発 内山智枝子、宇田川麻由、青木啓太、深谷将、武村政春

突然変異とお米の食感を体験できる生物実験教材の開発研究です。コロナ禍が過ぎ、突然変異などの分子レベルの生物教育は、今後ますます重要になってきます。
特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」を題材とした授業実践と防除対策-サクラ被害マップの作製と活用 倉林正、深谷将、髙橋瑛人、武村政春

生物分野における生態(特に外来生物)について学ぶと同時に、地理の知識も深めることができるという教科間連携に関する教材の開発・実践研究です。

2022 生物教育
GISを活用した地理と生物の教科間連携授業の開発と実践-サクラマップの作製とその分析を通して- 倉林正、髙橋瑛人、深谷将、武村政春

生徒にどこにサクラが植わっているかをGISを利用して簡単にスマホで登録できるアプリを開発し、それを用いて生徒に対して実践したもので、地理と生物という全く異なる教科が連携して行うことができるという、新たな教科間連携教材の開発研究です。

2021 新地理
「遺伝子とその働き」の理解を目指したパフォーマンス課題の検討 内山智枝子、武村政春

塩基配列の違いを示す資料と食べ比べを併用することでお米の食感と遺伝子(Wx遺伝子)との関係を生で感じられる、高校の授業設計に関する論文です。
塩基の相補性を確実に示す DNA 教材の重要性 内山智枝子、武村政春

DNA二重らせんモデルと塩基の相補性を示すいくつかの立体教材について、その教育効果を検討し、塩基の相補性を確実に反映させたボール紙・レゴブロック・磁石併用モデル教材が有効であることを示しました。
「進化と系統の結びつけの図が学習者に与える効果」の下線引きを活用した評価 深谷 将、武村 政春

生徒がテキストに下線を引くとそれが教師にリアルタイムに伝わり、生徒がどこを面白いと思い、重要だと思い、またわからないと感じているかが網羅的にわかるスマホアプリを利用して、3ドメイン説と細胞内共生説を結びつけた図の有無により生徒の理解がどう異なるかを評価する方法について研究を行いました。

2019/8/12 生物教育 https://doi.org/10.24718/jjbe.61.1_2
Visualization of giant virus particles and development of “VIRAMOS” for high school and university biology course Motohiro Akashi, Sho Fukaya, Chieko Uchiyama, Keita Aoki, Masaharu Takemura

ミミウイルスと宿主であるアカントアメーバを用い、ウイルスが生物に感染する過程を学ぶことのできる教材「VIRAMOS(Virus-Amoeba Observation Sheet)」を開発しました。栄養条件とウイルス感染の進行の違いについて、実際の顕微鏡写真で知ることができます。VIRAMOSはこちらから取得することができます。

2019/4/25 Biochemistry and Molecular Biology Education https://doi.org/10.1002/bmb.21249
DNAとRNAの役割の違いは、なぜ区別されにくいのか? 内山 智枝子、武村 政春

セントラルドグマの理解に不可欠な,「複製」と「転写」における DNA と RNA の役割を高校生が区別しているかどうか,その現状を調査し,先行研究と同じ混同が確認できるようであれば,その原因を追究することを目的とした論文です.
簡単で安価な電気泳動装置の開発による実践的な電気泳動実験 倉林 正、武村 政春

高等学校の生物の授業で、アガロースゲル電気泳動を、研究で用いるような専門的な電源や装置、研究用の寒天などで再現するのはコスト的にも大きな壁があります。これは、百円ショップなどで簡単に揃えられる材料を使った、学校の授業で気軽にできる簡易電気泳動装置の開発を行った論文です。、
Extracting DNA to visualize the unity and diversity of life Yoshihito Kinoshita, Takahiro Yamanoi, Masaharu Takemura.

DNA抽出実験は数多くの食材や生物材料から行われていますが、DNAを抽出してはい終わり、となってしまうことがほとんどです。この論文では、生物の五界説のそれぞれの界における代表的な生物(いずれも食材)から、同じ方法でDNA抽出を行うことで、DNAの共通性と多様性を感じさせることができる教材を開発しました。

2016 American Biology Teacher https://doi.org/10.1525/abt.2016.78.2.118
高校生物教科書における「真核生物の誕生」に関する内容ならびに「3ドメイン説」との関連付けに関する調査 武村政春

真核生物の誕生には、三ドメイン説、生物の進化と系統、細胞内共生説など、生物の教科書に掲載され、かつ別々の単元にあるいくつかの事象が緊密に関わっています。この論文では、それらを結び付けて効果的に真核生物の誕生について学ぶためにどのようにすればよいか、その例を具体的に提言しました。
「複製」と「転写」の誤理解もしくは混同に関する考察~旧課程で学んだ大学生に対する質問紙調査の結果から~ 倉林真理緒、武村政春

「複製」と「転写」は、そのしくみが非常に似ていることから、多くの語理解が存在していることがわかっていますが、その実態を詳しく調査した例はありませんでした。そこで、複製と転写がどのように学ばれてきたか、誤理解がどのように定着しているのか、その実態を調べるために、大学生に対してアンケート調査を行った論文です。
Using analogy role-play activity in an undergraduate biology classroom to show central dogma revision. Masaharu Takemura, Mario Kurabayashi

遺伝子の「転写」と「翻訳」の過程を、大学の授業でロールプレイのように、学生がtRNA、リボソーム、mRNA、RNAポリメラーゼ、DNAなどに役割分担して演じることで、どのような学習効果が得られるかを研究した論文です。

2014 Biochemistry and Molecular Biology Education https://doi.org/10.1002/bmb.20803
高等学校段階における生命現象の統一的な理解と説明のための「複製」概念の利用可能性について 武村政春, 風間智子

生命の根本的な性質である「複製」を、分子から個体レベルまでの様々な階層において見出し、それらを概念化することで、どのような高校生物教育に応用可能性があるのかを探った論文です。 

2014 科学教育研究 https://doi.org/10.14935/jssej.38.157
身近な野菜を用いた分子系統樹を描く生徒実習教材の開発 風間智子, 山野井貴浩, 武村政春

生徒にとって身近な野菜を生物の代表種としていくつか選び、分子系統樹作成フリーソフトMEGAを用いて、高校生物の授業で使える生徒実験を開発した論文です。

2014 理科教育学研究 https://doi.org/10.11639/sjst.13032
“二重らせん”を教える必要はほんとうにあるのか~DNA教育に関する提言~ 武村政春

DNAといえば二重らせんであり、これは中学校理科から必ず出てくる概念であるが、そもそもDNAと真の理解をもたらすのに、二重らせん構造はどれほど重要なのでしょうか。その形の美しさから、生徒の興味関心を惹きつけるには効果があるかもしれませんが、DNAのはたらきについての教育に、その概念はむしろ弊害になるのではないか、そんな思いから書いた論文です。

2014 科学教育研究 https://doi.org/10.14935/jssej.38.34
架空生物を利用した高校・大学における生物教育の可能性と展望について~いくつかの事例における教育効果の分析から~ 武村 政春, 山野井 貴浩

高校生物における教材において、実験教材化が難しい分野については、何らかのモデルを代替として用いる場合があります。架空生物はそうしたものの一つであり、本論文では、仮定の鳥である「折り紙バード」、カミンが創り出した有名な架空生物「カミナルキュール」について、日本の高校・大学のおけるその潜在的可能性を考察しました。

2012 科学教育研究 https://doi.org/10.14935/jssej.36.292
Development and evaluation of an activity to teach molecular phylogeny, deep time and classification systems for Japanese high school students Takahiro Yamanoi, Masaharu Takemura, Osamu Sakura, Tomoko Kazama

鯨偶蹄目の生物の代表種としていくつか選び、分子系統樹作成フリーソフトMEGAを用いて、高校生物の授業で使える生徒実験を開発した論文です。重要なのは、鯨がカバに系統的に近いという、あまり知られていない事実を生徒が気づくことによる教育効果であることを議論しています。

2012 Asian Journal of Biology Education
Improved “origami bird” protocol enhances Japanese students’ understanding of evolution by natural selection; a novel approach linking DNA alteration to phenotype change. Takahiro Yamanoi, Kazuomi Suzuki, Masaharu Takemura, Osamu Sakura.

折り紙バードというアメリカで開発された進化教育に関する優れた教材について、日本でもその使用が効果的であることを示した論文です。
高校生物IIの授業が進化の理解に及ぼす影響 山野井 貴浩, 佐倉 統, 鈴木 一臣, 武村 政春

現行の高校生物Ⅱの授業によって、進化を学習した高校生は,学習していない高校生と比べて進化の理解にどのような違いがあるのかをアンケート調査により明らかにした論文です。また,大学や高校生物教員にも同様のアンケート調査を行い,理解が不十分な内容が学習が進むにつれ改善されるかどうかを検討しました。
DNAファイバー法を用いたDNA複製を目で見て学ぶ生徒実験の開発~SPPを利用した実践から見えてきた課題~ 髙野雅子, 大島輝義, 奥田宏志, 山野井貴浩, 武村政春.

DNAファイバー法とは、DNAポリメラーゼにより蛍光物質を取り込ませたDNAをスライドグラス上でファイバー状に引き延ばし、複製された箇所を可視化することができる技術です。この技術を用いて高校のSPPでの実践を行い、その教育効果を検討したものです。
東京理科大学武村政春研究室 © 2024 Takemura Lab. All right researved.
Takemura Lab.
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